ワンルームマンションの減価償却
建物は築年数が経過すると経年劣化していくものです。
減価償却はこの経年劣化で資産価値が減少していくという考え方をもとに、資産価値の減少分を経費として計上するという会計上の仕組みとなっています。
必要となるのは会計処理をする場合であるため、ワンルームマンションを自宅として住んでいるだけであれば関係のない話ですが、不動産投資をしている方は必ず通る道です。
不動産投資をしている方は必ず確定申告をする必要があり、この減価償却は確定申告時の経費に該当するため、きちんと計算方法を理解しておきましょう。
入力項目 取得価格(円) 耐用年数 47年(RC造) 34年(重量鉄骨) 27年(鉄骨) 22年(木造) 築年数 新築 1 年 2 年 3 年 4 年 5[…]
ワンルームマンションの減価償却費の計算方法
減価償却の計算方法
まず減価償却費の計算式ですが、以下の通りです。
ただし、ここでいう建物の取得価額は単に物件の価格ではありません。
ワンルームマンション購入時には仲介手数料や固定資産税、都市計画税の精算分なども発生しているはずですが、それらを含めた金額を指します。
それでは償却率というのはどういったものでしょうか。
償却率は税制で決められている数字で、1年でどれだけ建物の資産価値が減るかを定めたものです。
対象の耐用年数で決まっているため、まずは国税庁の公式サイトから『減価償却資産の償却率等表』を確認してみましょう。
減価償却費自体の計上方法には2種類あり『定額法』と『定率法』がありますが、平成28年以降、建物は『定額法』で計算するよう税法で決められています。
定額法はその名の通り毎年決まった額を償却する計算方法です。
償却期間の計算方法
『減価償却資産の償却率等表』には償却期間に対応した償却率が記載されています。
償却期間=耐用年数ではなく、償却期間は以下の計算方法で算出されます。
そのその計算式は以下の通りです。
投資用のワンルームマンションの場合、殆どが鉄筋コンクリート造になるため、耐用年数は47年となります。
建物の取得価額がわからない場合
ワンルームマンションの取得額が不明だという問題は比較的よくあるケースです。
土地と建物の内訳が明示されていないため、建物部分の取得額がわからなくなるということは、特に中古物件に多い印象です。
こういった場合、建物価格は2つの方法で計算することができます。
- 消費税額から計算
- 固定資産税評価額から按分
消費税から建物価額を計算
ワンルームマンションを不動産業者から購入した場合、建物の購入価格には消費税がかかりますが、土地には消費税がかかりません。
つまり、消費税がかかっている額が、純粋な建物の価額ということになります。
契約書を見直してみて、消費税の表示があれば割り戻すことで数字を得ることが可能です。
固定資産税評価額から按分
ワンルームマンションを個人から購入した場合、契約書があっても消費税が明示されていない場合も少なくありません。
その場合は固定資産税評価額を参照し、土地と建物の割合を按分してください。
不動産オーナーには毎年4月から5月にかけて、自治体か都主税局から「固定資産税納税通知書・課税明細書」が郵送されます。
そこに記載されている建物・土地それぞれの評価額の割合を、建物・土地合計の取得額に当て込めばよいのです。
これで税務署から指摘を受けない、正しい計算が可能です。
設備の減価償却
生活に必要な給排水設備やガス/電気/照明設備は、建物の付帯設備であり減価償却が可能です。
設備は建物に比べて耐用年数が短いため、設備も減価償却をした方が短期的には大きい減価償却をすることができます。これが冒頭に説明したテクニックです。
設備の減価償却をする際、建物に対して設備はどれくらいの割合を占めているかをまず確認しなければならないのですが、建物・土地の割合のように確認することはほぼ不可能です。
そのため一般的に10%~20%程度、とざっくり計算することが殆どです。
しかし減価償却費を短期的に高く取りたいからと言って、設備割合を30%や40%など無闇に高くしてしまうと、税務署からの指摘に対抗できなくなってしまうため、せいぜい20%程度におさめておくと良いでしょう。
仮に設備割合を20%にした場合、先ほど算出した建物取得額の20%を設備での減価償却、残りの80%を建物の減価償却として計算をすることになります。