制限行為能力とは
制限行為能力者とは法律上、単独で法律行為を行うことができない人のことを指します、具体的には以下の4つに分類されます。
- 未成年
- 成年被後見人(判断力がほぼゼロの人)
- 被保佐人(判断力が著しく不十分な人)
- 被補助人(判断力が不十分な人)
未成年は聞き馴染みがあると思いますが、成年被後見人、被保佐人、被補助人はいまいちピンとこないのではないでしょうか。
具体的には成年被後見人はアルツハイマー病の人、被保佐人は中軽度の認知症の人、被補助人は軽度の認知症の人が当てはまるそうですが、「中軽度ってなんやねん!」とツッコミたくなりますよね。
その基準は明確ではなく医師たちの判断によって決まるそうなので、具体的な線引は覚える必要はないと思います。
重要なのは、以下の順序で障害レベルが高いということです。
成年被後見人 > 被保佐人 > 被補助人
また『被』という言葉には『受け身』の意味があるので、例えば被補助人だと『補助を受ける人』という理解ができます。未成年・成年被後見人・被保佐人・被補助人をサポートする人のことを保護者・法定代理人といい、それぞれ未成年後見人・成年後見人・保佐人・補助人といった形で、未成年以外は『被』を抜いた呼称になります。
制限行為能力者って言葉もいまいちピンときませんよね。行為能力制限者の方が分かりやすいのになぁ。
保護者・法定代理人
このような判断力が欠如している人をサポートする保護者・法定代理人には4つの権利があります。
- 同意権
- 追認権
- 取消権
- 代理権
同意権:
契約内容に同意すること。保護者・法定代理人が同意した契約は、後から取り消すことができない。
追認権:
制限行為能力者が単独で行った契約を後から承認すること。追認後はその契約を結んだタイミングから有効になるため、取り消すことができない。
取消権:
制限行為能力が単独で行った契約を取り消すこと。
代理権:
制限行為能力者の代わりに保護者・法定代理人が契約をすること。判断能力を有している成人が判断したとみなされるため、後から取り消すことができない。
またそれぞれの制限行為能力者に応じて、保護者・法定代理人が有している権利も異なります。
◯は保護者・法定代理人が権利を有しているものです。△は権利の申し立てをすることで得ることができるものです。✕は権利を有していません。※ちなみにこの◯✕シートは、各サイトによって解釈が様々だったので、大津家庭裁判所が出しているPDFを参照しました。
判断能力がほぼゼロの人である成年被後見人は、一緒に契約を進めたり(同意権)勝手に一人で契約を進めたりすること(追認権)が許されておらず、仮に勝手に一人で契約をしていてもそれを取り消しすること(取消権)ができ、基本的には保護者・法定代理人が契約を進めなければならない(代理権)と理解できます。
逆に被補助人はある程度判断能力が認められているため、申し立てをしなければ保護者・法定代理人に権利は与えられないようです。
また法定代理人と保護者の違いについて調べてみても明確な定義の違いはないようでしたが、一般的に未成年後見人のことを保護者、それ以外を法定代理人というそうです。
【※注意】この記事は宅建の出題範囲を筆者の独学でまとめたものです。
そのため本来の法律の解釈と異なる点がある可能性があります。
本記事を参照したことで被った損害等は、一切の責任を負いません。