はじめに
第一章から第五章まで、ワンルームマンション投資に関する様々なことを解説してきました。
最終章では今まで解説してきたことを踏まえ、「不動産投資は儲かるのか?」について言及していきたいと思います。
今までもお伝えしてきましたが、この超解説は自身の経験に基づき、ワンルームマンションについて解説をおこなっています。戸建て・一棟投資の解説ではないのでご了承ください。
各章の構成は以下の通りです。

投資用一棟マンションを販売している不動産会社に入社し、スルガ銀行不正融資事件の発覚前から業界の闇を体験。健全な不動産業界にするため本サイトを立ち上げる。Amazon Kindleにて「資産形成の『甘いウソ』と本当のワンルームマンション投資」発売中!
ワンルームマンション投資は儲かるのか?
はじめて不動産投資としてワンルームマンションの購入を検討される方は、不動産投資の営業マンの話を聞いて「こんなに美味しい話があるのか?」と思うでしょう。
第一章では不動産投資によるメリットを解説しました。不動産投資は『銀行からお金を借りて、貸主に返済をさせる投資』であり、ローンを組むことで団信と呼ばれる、いわゆる生命保険に加入することができます。
更には節税効果もあって、将来ローンが返済されれば年金代わりにもなる。メリットだけ聞くと、この上ない投資商材だと言えるでしょう。
一方で第二章と第三章では、そんな夢物語は続かない、空室や家賃下落のリスク、減価償却や所有部分の修繕など、同時に考慮しなければならない多くのリスクや落とし穴について解説をしました。
さて、総じてワンルームマンション投資は儲かるのでしょうか?
もったいぶらず、結論をお伝えすると物件と投資戦略によりけりです。
「何だソレ!」って思う方もいるかと思いますが、結局は何を買って、どう出口戦略を練るかなのです。
「出口戦略」ってよく言うけどさ... 出口戦略って何すればいいの? 不動産投資を勉強した人が一度は聞いたことがある言葉の一つである『出口戦略』。 「出口戦略を考えましょう!」と、不動産投資コンサルタントの人が偉そうに言いますが、「[…]
これは不動産投資だけに言えることではありません。株式投資も、絶対に儲かる株が存在していたら、みんな買っていますよね?
なので、無暗に不動産投資の営業マンから勧められる物件を買っても100%儲からないと言えるでしょう。
彼らは不動産投資を売るプロかもしれませんが、不動産投資自体のプロではありません。
私は何十人もの不動産投資の営業マンに会ってきましたが、その中で不動産投資を実際にやっている人はごく僅かでした。
そんな人に「この物件オススメです」と言われても、何をもってオススメしているのでしょうか?私は不思議でなりません。
100%儲かる投資なんてないのです。儲けることができるようになるためには、きちんと不動産投資に関する知識をつけ、どのような物件は収益性が高いのか、どのように売却戦略を立てるのかが重要になってきます。
損をしないためにやるべきこと
不動産投資で儲けるためには知識と戦略が必要だとバッサリ切り捨ててしまいましたが、ではどのようにしてその知識と戦略を考えていけば良いのでしょうか?
正直、自分は2物件目を買うときに、きちんと不動産投資に関する勉強をし直しました。1物件目は場所も悪くなかったのと、2,500万円くらいの物件だったので「最悪何かあっても大丈夫」と思っていたからです。
しかし2物件目の購入を検討した際に、やっと『2物件とも空室になったら、月々20万近く負担が発生する』『同じタイミングで室内設備が壊れたら、いきなり20万近い損失が発生する』等の、リスクについてきちんと目を向けるようになりました。
色々調べていくうちに「このエリアの物件は収益性が高そう」だとか、「このタイプの物件は売却時に困りそう」等の、物件に関する嗅覚が高まっていきました。
不動産投資の営業を受けていると、どうしても当事者意識が薄れてしまいます。不動産投資の営業マンから強めの「儲かりますよ!」「将来不安じゃないですか?」という圧に負け、「この人がそんなにオススメするならいいか」と、心の中で他人に責任を押し付けているかのような決断に至ってしまうことがあります。
いざ物件を保有してみると、あんなに押しの強かった営業マンから一切連絡が来なくなる、なんてことばかりです。
なので一番手っ取り早いのは、まず物件を持ってみることです。そうすれば自然と当事者意識が湧き、どうすれば購入した不動産で収益を最大化できるのだろうと考えるようになるでしょう。
日興レジデンシャルとは 私の投資家デビューは日興レジデンシャル タイトルの通り、私が初めて買った投資用不動産は日興レジデンシャルから提案された物件でした。 これは日興レジデンシャルから不動産を買うと貰うことができる、登記関連の書類[…]
しかし「やってみないとわからない」なんて無責任なことはここでは語りたくありません。
なので1物件目、もしくは2物件目の購入を検討している方に向けて、損をしないために自分が実践したこと・意識したことを紹介していきます。
具体的には以下の4点です。
- とにかく沢山話を聞く
- きちんと自分でシミュレーションを作る
- 買う物件・買わない物件の線引きを決める
- 嫌な客であれ
とにかく沢山話を聞く
とにかく色々な人に話を聞いてください。1人の営業マンから話を聞こうとしないでください。
不動産投資に関するセミナーは至る所で実施がされています。時間が許す限り、できるだけ多くのセミナーに参加してみましょう。
オススメの話の聞き方は『新築を売っている人に、中古の良さを聞く』『中古を売っている人に、新築の良さを聞く』です。
不動産投資の営業マンは、何か弱みに付け込まれた時のカウンタートークを用意しています。
例えばあなたが中古ワンルームマンションの購入を検討しているとしましょう。そうしたら、あえて新築を売っている会社のセミナーに参加をしてみましょう。
そこで「今、中古の購入を考えています。今回のセミナーは新築に関する内容でしたが、どちらの方が良いでしょうか?」と聞いてみましょう。
不動産投資セミナーを実施している会社は、セミナー後参加者に対して営業をかけてきます。
既に購入を検討している人は絶好の的となるため、積極的に中古の悪いところ、新築の良いところを紹介してくるでしょう。
何が言いたいかというと、中古を検討しているときに、中古だけを取り扱っている会社に話を聞いても良い話しかしてくれないということです。
きちんと自分でシミュレーションを作る
シミュレーションの作成方法は、第四章で解説をしました。
不動産投資の営業マンは、基本的に最初の1年~2年程度のシミュレーションしか提示してきません。
またそのシミュレーションには、固定資産税や室内設備の修繕等のリスク費が考慮されていません。
ワンルームマンション投資は、基本的に節税と売却で儲けを出す投資です。その2つが欠けているシミュレーションは、正直全く参考になりません。
なのでシミュレーションは自分自身で作成しましょう。
ちなみに私は、「今こういうシミュレーションを作っている。この粒度でシミュレーションを作ってもらえないか」と何度か不動産投資の営業マンに頼んだことがありますが、それに応じてくれた営業マンは一人としていませんでした。
変な話、彼らはそんなものを作らなくても、売れる時は売れるのです。一人の客にそんな時間をかけている暇などないのです。
買う物件・買わない物件の線引きを決める
『沢山話を聞く』『自分でシミュレーションを作る』を実践していると、だんだん良い物件か、悪い物件かの嗅覚がついてきます。
既に物件を所有している場合は、『自分が買った物件は良い物件だったのか』ということも分かってくるでしょう。
そこまで嗅覚がついたら、あとは自分が買う物件の条件を決めるだけです。自分の場合は、1物件目より悪い物件は買わないというものでした。
具体的には、
- 駅徒歩7分以内のワンルーム
- 最短5年で売却利益が出る
- 「自分が知っている」駅が最寄り駅である
などです。
他にも色々ありますが、自分はこの条件でいつも不動産投資の営業を受けています。
「そんな物件ありません」と言われることもありますが、自分は運よく1物件目が優良物件であったため、それより悪い物件をリスク背負って買いたくないのです。
結果的にはこのような条件でも、以降買い進めることができています。
また「自分はこの条件じゃないと買わないです」と伝えると、「実は初めてお取引する人には紹介できないのですが・・・」と、より条件が良い物件を紹介してくれるケースもあります。
自分の中で線引きを決めておくと『感情に揺さぶられずに意思決定ができる』『その条件にあった物件を紹介してくれる』等のメリットがあるので、一定知識がついたら考えてみると良いでしょう。
嫌な客であれ
これらのことをまとめると、嫌な客であれということです。
『分からないことはネチネチ聞く』『厳しいツッコミをしてみる』『自分の条件に合っていないと突っぱねる』
自分もよく「嫌な客ですよね。」と自虐していますが、そんなお客さんに対してどう向き合ってくれるかは非常に重要だと感じます。
個人的におすすめなツッコミは「このシミュレーションって、固定資産税考えたらマイナスですよね?」です。
こんなやり取りになります。
ポイントは『別に嫌がらせをしたいわけではない』『買う気はある』を示し続けることです。
そうすると新卒ほやほやの営業マンではなく、そこそこの役職の営業マンが出てくることもあります。
嫌な客であれば、その物件の収益性を見抜くだけでなく、より良い営業マンに巡り合う可能性もあります。
気持ちよく取引ができる会社を見つけよう
最終的に自分は、友人に紹介してもらった不動産会社の社長さんとお付き合いをさせてもらっています。
自身でも不動産投資に取り組んでいて、節税や出口戦略に関する知識も豊富です。分からないことは聞けばすぐに答えてくれます。
その会社は税理士と提携しており、確定申告の代行が管理手数料の中に含まれています。この点も、自分がその会社にお願いをした理由の一つです。
もちろん税理士に丸投げするつもりはなく、「不動産以外にも収入があるのですが、そういった面も税理士さんと一緒に話せますか?」という相談にも快諾していただけました。
余談ですが、よく「確定申告のお手伝いします!」と話す営業マンがいますが、あの実態は違法行為なので注意しましょうね。
自分の足で様々なところから情報収集をしてみた結果、自分は気持ちよく取引ができる不動産会社に巡り合うことができました。
その会社に決めた大きな理由は、その社長が自分よりも圧倒的に知識があったためです。
今の会社さんとお取引をし始めた後も、様々な不動産投資会社の営業マンから話を聞く機会がありました。しかし、その社長よりも知識がある人は1人として現れませんでした。
またその会社には『人を紹介するとインセンティブがもらえる』というシステムはありません。しかし不動産投資を考えている友人には、全員その会社を紹介するくらい、その会社を信頼しています。
最後に
最終章『不動産投資の真実』では、損しないための客としてのスタンスについてお話をしました。
冒頭でも述べた通り、100%儲かる投資なんて存在しません。そんなものが存在していたら、今頃みんな億万長者です。
仮に景気が一定であれば、投資は誰かが得している裏で、誰かが損しているのです。
最終章まで読んでいただきありがとうございます。
ぜひこの不動産超解説を何度も読み返していただき、不動産投資で儲かるための自分なりの理論を見つけてみてください。