サブリースの罠
「家賃保証があるので、空室リスクもありません」という営業トークを一度は耳にしたことがあると思います。
『不動産投資の落とし穴』で解説をしている通り、サブリースは永遠とその家賃保証が続くわけではなく、2~3年の契約更新の際に保証金額も見直しが入ります。そのため35年でローンを組んだ場合、35年間同じ家賃保証を受け取れる保証はないのです。
もちろんサブリースはリスクヘッジにおいて有用な手段の一つだと思います。しかし、100%家賃保証を信頼し続けて、不動産を保有することはオススメできません。※ワンルームマンションをローン完済までの35年間保有し続けるのもオススメできませんが。
例えばそのエリアの家賃相場よりも高い賃料で貸し出しているのであれば、現入居者が退去したタイミングで募集賃料を下げないといけない可能性が出てきます。
また新築区分の場合、最初の入居者が退去したタイミングで『新築プレミアム』がなくなるため、同じく募集賃料を下げる必要が出てきます。当然、サブリース契約も強気な交渉をしてくるでしょう。
そのためご自身でそのエリアにおける家賃相場や、地価の変化幅を見極め、リスクの大きさを判断していく必要があります。
今回はポータルサイトを使った家賃相場の調べ方について紹介をしていきます。
スーモやホームズを活用
家賃相場を手っ取り早く調べるためには不動産ポータルサイトのスーモやホームズを活用すると良いでしょう。
特にホームズの『家賃相場』のコンテンツは、特定エリア×駅徒歩×平米数で家賃相場を出すことができたり、『見える!賃貸経営』ではエリア別の平均利回りを見ることができるので、物件の検討時に強い参考材料になります。
購入しようと思っていた物件の家賃設定が、相場よりも高い場合は以下のポイントを不動産会社に確認をしましょう。
- 現居住者の居住期間
- 床暖房や浴室乾燥機等の室内設備
- 宅配ボックス等のマンション設備
居住期間が長い場合は、高い賃料設定のまま住み続けている可能性もあるため、退去のタイミングで募集家賃をグッと下げなければいけない可能性があります。
また床暖房・浴室乾燥機・宅配ボックス・ゴミ捨て場・駐輪場など、屋内・屋外施設が充実している場合は、家賃相場よりも高くなる可能性があります。そういった場合は、条件検索が強いスーモを使って似た物件を検索すると良いでしょう。
データの信憑性は?
よく不動産の営業マンにスーモの物件を見せて「家賃相場がこれくらいなんですが、なんでこの物件ってこんなに家賃が高いんですか?」と聞くと、「スーモにはオトリ物件が多いので信用できませんよ」という返しをよく受けます。
これはあくまで個人的な所感ですが、昔ほどスーモにオトリ物件を掲載する不動産会社は多くないと思います。
昔に比べるとスーモやホームズ以外に、スマイティやDOOR賃貸、イエプラやイエッティなど、ユーザーが不動産を探す手段は多様化され、情報の感度が高まっている状態だと思います。
スーモの場合は掲載枠に応じて、ホームズの場合は問い合わせごとに不動産会社がスーモ・ホームズにお金を払ってサイトに物件を掲載しています。
問い合わせがあっても、ユーザーから「この物件がないなら、興味ない」と言われてしまったら、スーモやホームズに払ったお金は無駄になってしまいます。そのためスーモやホームズに掲載している会社は、昔よりもデータの鮮度への意識が高まっているように感じます。いわゆる『おとり物件』と言われるものの多くは成約した物件等の消し忘れで、情報鮮度の向上によって『おとり物件』の母数は減ってきているのです。
またスーモやホームズに掲載されている物件の多くは、不動産流通機構が運営する『レインズ』というネットワークに登録されている物件です。時たま同じ物件を別の会社が掲載しているのは、不動産は貸主との契約次第で誰でも借主を探すことができるためです。
少し話しはそれてしまいましたが、「スーモにはオトリ物件が多いので信用できませんよ」という不動産投資の営業マンの常套句は苦し紛れの言い訳で、空室のリスク等も一緒に考えていけるような営業マンの方が信用できるでしょう。
まとめ
不動産業界は様々な情報で溢れていて、且つ透明性が高い業界だとは言い切れません。
ただ業界外の一般人がアクセスできるデータであるスーモやホームズの掲載物件が、強い参考材料になることは間違いありません。
また不動産会社によっては、スーモやホームズのページをプリントアウトしてきて「ほら、これくらいで賃貸がされてますよ」と提示してくる営業マンもいます。
しかし営業マンが提示するスーモやホームズは、営業マンにとって都合の良い物件であることが多く、物件のスペックに若干差があることが多いです。
もし家賃の相場や物件の相場を調べたいときは、不動産会社、ならびにその営業マンが提示してくる情報を鵜呑みにせず、一度自分自身で調べてみると良いでしょう。