はじめに
不動産投資とは、収益を目的として不動産を購入・運用することです。不動産投資は株式投資やFXと違いローンを組んでおこなう場合が多く、家賃収入以外にも様々な恩恵を受けることができるため、サラリーマンをはじめとして多くの層に支持されている投資手法です。
とはいえ「不動産を居住以外の目的でローンを組んで購入するのは怖い」「営業マンがしつこい」「だまされた!」など、ネガティブな意見や体験談が多く、不審に思っている人も少なくないと思います。
本記事では、自分の経験に基づきながら「ワンルーム不動産投資とは?」を詳しく解説をしていきます。
「不動産投資に興味はあるが、一歩踏み出せない」「どの物件を買うべきか分からない」「そもそも節税効果って?」という方に参考になれば幸いです。
各要点をまとめた上で、最終的には「結局ワンルームマンションは儲かるのか?」ということに言及していきたいと思います。
また今回は全章通じて「ワンルームマンション投資」にフォーカスして紹介する予定です。「一棟マンション」に興味がある方は申し訳ありません。
各章の構成は以下の通りです。

投資用一棟マンションを販売している不動産会社に入社し、スルガ銀行不正融資事件の発覚前から業界の闇を体験。健全な不動産業界にするため本サイトを立ち上げる。Amazon Kindleにて「資産形成の『甘いウソ』と本当のワンルームマンション投資」発売中!
不動産投資のメリット
まず一般的な内容ではありますが、不動産投資のメリットについてお話をしたいと思います。既に何となく理解している人は読み飛ばすことをオススメします。
ネット記事などでも書かれていることではありますが、不動産投資には以下のようなメリットがあります。
- 資金がなくても低金利なローンを組んで実施ができる
- 節税対策になる
- 生命保険の代わりになる
- 年金対策になる
まずはこれらを一つ一つ紐解いていきたいと思います。
資金がなくても実施可能
冒頭に説明した通り、不動産投資は他の投資商材と違い、ローンを組んで実施することが非常に多いです。そして最近では、各銀行が不動産投資用のローン商品を準備しているほどです。
このことを投資用不動産に深い知見を持っている人からは、レバレッジと呼ばれています。
レバレッジといえば、FXを思い浮かべる人が多いと思います。レバレッジは『てこの原理』を意味する言葉で、投資におけるレバレッジは少額の元手で、大きい取引を行うことを意味しています。
不動産投資は株式やFXと違い相場の変動性が低く、安定した家賃収入を得ることができるため、それをローン返済金額に充てることができます。ローンを組んでも投資として成り立つ、という点が他の投資商材と一線を画している点です。
「とはいえ、頭金が必要なんでしょ?」と思われるかもしれませんが、購入する不動産会社によっては頭金0円でできるケースもあります。
頭金0円で不動産投資用のローンを組むことをフルローン(フルオーバー)と呼びます。
ただフルローンを組むにしても、登記費用や手付金、不動産取得税はどうしてもかかってしまいます。
しかし前述の通り、購入する不動産会社によっては登記費用などを割引いてもらえることがあるため、実質的に購入時は初期費用0円、ということも可能です。
避けることができない費用として不動産取得税と手付金があります。3,000万円ほどのワンルームマンションを購入した場合の不動産取得税は大体10万円前後、手付金も10万円ほどなので、おおよそ20万ほど準備しておけば、不動産投資を始めることができます。
手付金とは? 不動産を購入する前に、「まずは手付金の支払いがある」と言われたことがあると思います。 手付金とは一戸建てやマンションを購入する際に、買主が売主に「この物件や土地を購入する意志がある」ということを伝えるための証拠のお金に[…]
節税対策になる
不動産投資の営業マンと打ち合わせをすると、ほぼ100%「不動産投資は節税になる」という説明がされます。
ではその節税対策とは一体何なのでしょうか?それを知るためには住民税と所得税の仕組みを知る必要があります。
住民税や所得税を語る際に『基礎控除』や『課税所得』など、普段見慣れない・聞き慣れない単語が散見されるため、なかなか深くまで理解することができていない人は多いと思います。
多くの人に理解してもらえるように、できるだけ簡潔に説明をしようと頑張ってみますが、1つだけ理解をしていただきたいことがあります。
それは『所得 = 収入 - 経費』だということです。「経費ってなに?」は、一旦スルーしてください。
さて、住民税と所得税はどのように決まるのでしょうか。
上図のように、住民税・所得税はその人の所得によって変動があります。会社員の場合、『所得 = 収入 - 経費』内の収入が給与にあたります。そして会社員の経費は会社が負担するものされており、所得計算に経費を入れ込むことを原則として認められていないため、『所得 = 収入』となり、所得税・住民税は年収を元に計算がされます。
一方で個人事業主の場合は、経費が認められます。会社で上司にハンコを押してもらって使える経費とは違い、個人事業主は経費自体も自らのポケットマネーで払う必要があるためです。
そのため例え売上が年間1,000万あったとしても所得は1,000万円にならず、必要経費が500万円かかっていた場合、所得は1,000万円 - 500万という計算になります。
では不動産投資をおこなった場合を考えてみましょう。
不動産投資をすると、サラリーマンの主な収入源である給与に加え、不動産収入を得ることができます。
この収入は会社員としてもらえる収入とは別物であるため、不動産投資に関わる諸費用は経費として申請ができるのです。
申請できる経費の例として、ローン返済の金利や、物件の減価償却費、また不動産投資に関する勉強代・書籍の購入等です。
他にもいろいろありますが、しっかりとまとまったサイトがあるので、ここでは全てを解説しません。また最近は税務のサポートをしている投資用不動産会社もあるので、もし確定申告に不安がある方は、そういうサービスも含めて購入する物件を検討されても良いかもしれません。
そろそろ勘の良い人はお気づきかもしれませんが「なぜ不動産投資が節税になるのか?」という問いの答えは、不動産投資で赤字を出すことで所得を下げることができるからです。
上図はあくまで例ですが、不動産赤字のおかげで支払う住民税+所得税が148万円から92万円になり、56万円お得ということになりました。これが不動産投資の節税効果です。
ちなみに実際の手取りは住民税、所得税に加え健康保険料や厚生年金保険料が差し引かれるので更に減ってしまいます。
年収によって節税できる幅は変わりますが、年収500万円でも10万円~30万円くらいは節税できるます。必ずしも高収入でないといけない、ということはありません。
生命保険のかわりになる
これも投資用不動産の営業マンの売り文句です。なぜ不動産投資が生命保険の代わりになるのでしょうか?
それは団体信用生命保険という保障制度があるためです。具体的には死亡や高度障害によって、ローンの支払いができなくなってしまった場合に、生命保険会社がローンを代わりに支払うというものです。
例えば自分が死亡してしまった場合でも、ローンの支払いが不要な物件を自分の家族に残すことができます。そのため「生命保険の代わりになる」と言われているのです。
そしてこれは不動産の購入者が入る保険ではなく、銀行側が加入する保険です。既に金利に組み込まれている、金利を上乗せする、別途手数料が掛かる等、銀行ごとに対応方法が異なります。
不動産投資用ローンの場合は既に金利に組み込まれており、解除ができないことが殆どであるため、提示された金利の上で収支計画を考えるのが一般的です。
また銀行側も「この金利には団体信用生命保険が入っています」という説明をわざわざしてきません。銀行側のサービス料の内訳をわざわざ語る必要ないですもんね?
なのでカッコつけて「団体信用生命保険の手数料はいくらですか?」なんて聞くのはやめましょう。
年金対策になる
2019年6月3日、金融庁の「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」によって老後2,000万円問題が多くのメディアで取り上げられました。
その問題の真相や真偽はさておき、少子高齢化社会問題の渦中である日本において、「自分の世代で年金はもらえるのか?」という不安は払しょくしきれないと思います。
不動産投資が年金対策になる、という話は至極単純で、35年でローン完済ができたら家賃収入が毎月入る物件だけが残るためです。
そりゃそうだ、としか言いようがないのですが、実はこのメリットはそんな単純なものではないため「老後2,000万円問題!」「年金対策!」みたいな言葉に簡単に踊らされてはいけません。
詳しくは別章で解説いたします。
次章について
第一章では、いわゆる不動産投資の営業マンからよく聞く話をまとめたにすぎません。
ここまでの話は一度、不動産投資の営業を受けたことがある人にとっては聞き馴染みのある話でしょう。
次章では、なかなか営業マンが語ってくれないリスクについて解説をします。
はじめに 第一章は不動産投資に関する、どこでも聞けるようなメリットについて解説をしました。 第二章では、なかなか不動産投資の営業マンから聞くことができない不動産投資のリスクについて解説します。 この超解説は、自分の経験に基づき[…]