自己資金利回り(CCR)とは?
不動産投資の現場ではさまざまな専門用語が使われていますが、その一つとして挙げられるのが「CCR」です。
CCRはCash on Cash Returnの略で、日本語では「自己資金利回り」または「自己資金配当率」などと表されています。
自己資金で投資した際にどれほどの利益が生じているかの割合がCCRであり、不動産投資の効率性を示す指標としてよく使われています。
自己資金利回り(CCR)の求め方
CCRは以下の式で算出が可能です。
この式を使うことによって、借入金を除いた資金、つまり自己資金自体がどれほどのキャッシュフローを出せているかを計算できます。
たとえば、物件Aに2,000万円の自己資金を投資し、毎年150万円の利益を得られているとしましょう。
この場合のCCRは150万円÷2,000万円×100=7.5%となり、投資した資金は金額の7.5%にあたる利益を毎年出していることがわかります。
また、物件Bに自己資金5,000万円を投資し、その物件にて毎年200万円の利益を得ていた場合、CCRは200万円÷5,000万円×100=4%となります。
一般にCCRは高いほうが良いとされるため、物件Bより物件Aのほうが優良であると分かるのです。
自己資金利回り(CCR)が高いほど良い理由
さまざまな条件はあるものの、一般的にCCRは高いほうが良いとされています。
理由は大きく3つあります。
- 投資した資金を早く回収できる
- 不測の事態にも対応できる
- 信用につながる
投資した資金を早く回収できる
CCRが高いことで得られるメリットとして第一に挙がるのは、やはり資金回収の早さでしょう。
たとえば、3,000万円の自己資金を投資した物件のCCRが5%だった場合、年間に得られる利益は150万円です。
毎年同じ額の利益を得られたとしても、最初に投資した3,000万円を回収するには20年もかかってしまいます。
しかし、この物件のCCRが8%だとしたら年間利益は240万円となり、13年目で投資金額に到達できます。
不測の事態にも対応できる
不動産の運営には不測の事態が付き物です。
たとえば、経年劣化で雨漏りや塗装の剥がれなどが生じ、それの修繕に費用がかかってしまうことはあるでしょう。
また、その物件を借りてくれる相手が常に存在するとも限りません。
特に昨今は新型コロナウイルスの感染拡大により借り手が見つかりづらい状況が続いており、新宿や秋葉原など一等地の物件であっても空いてしまっています。
しかしCCRが高く収益が多い物件であれば、その分キャッシュが手元に多く残すことができるので、このような不測の事態にも対処できる可能性が高まります。
信用につながる
何百万から何千万という資金を金融機関から借り入れる場合、まずは融資審査を受けることになります。
その際に大きく関わってくるのが信用力です。
CCRが高い物件を有していればそれが信用につながり、金融機関の審査も通りやすくなるでしょう。
レバレッジの効果を計算する際にも自己資金利回り(CCR)は有効
『レバレッジ』とは少額の元手で、大きな取引を行う投資用語です。
はじめに 不動産投資とは、収益を目的として不動産を購入・運用することです。不動産投資は株式投資やFXと違いローンを組んでおこなう場合が多く、家賃収入以外にも様々な恩恵を受けることができるため、サラリーマンをはじめとして多くの層に支持されて[…]
たとえば、自己資金だけの取引だと10%だった利益率を、金融機関から融資を受け、利益率を20%まで高められたのなら、レバレッジを聞かせることができていると言えます。
しかし、利益率は上がったとしても同時に借入金も発生しているわけですから、総合的に見て利益が増えたかどうかは計算が必要です。
レバレッジの効果を数値化したい際にもCCRは使われます。
たとえば、自己資金を500万円持っており、共にCCRが8%の物件Aと物件Bがあったとしましょう。
物件Aが500万円で物件Bが1,200万円だった場合、Aは自己資金のみで購入できます。
この場合、毎年の利益は500万円の8%なので、500万円×0.08=40万円となります。
一方、1,200万円の物件Bを入手するに金融機関から700万円を借り入れて、毎年40万円を利息として払ったとしましょう。
不動産から得られる利益から利息分を差し引いたとしても1,200万円×0.08-40万円=56万円と、物件Aよりもキャッシュフローが優良=レバレッジを利かせることができていることがわかります。
逆レバレッジに注意
このレバレッジを行うことにより、限られた自己資金でも大きな利益を得られることがあります。
しかし、レバレッジは常に成功するとは限らず、かえって損をしてしまうことがあるのも事実です。
たとえば、金利の上昇によってレバレッジがマイナス方向に働いてしまうことがあります。
また、CCRの数値自体が落ちてしまうこともあるでしょう。
不動産は経年劣化によるメンテナンス費用・修繕積立金の高騰があり得るので、注意が必要です。
そのため、より正確な利回りや投資回収期間を計算するには、CCRを年ごとに修正・計算しなければなりません。
不動産に投資する際は投資初期だけでなく数年後、数十年後のCCRも計算し、そのうえで総合的に判断するようにしましょう。