問題視されているサブリース
サブリースとは、不動産会社がオーナーから賃貸物件を一括で借り上げて運用するサービスです。
オーナーは運用の手間が省け、また不動産会社より保証賃料を受け取れます。
この保証賃料はたとえ入居者がいなかったとしても受け取れるため、空室リスクの回避策としてサブリースは一時期大いに注目を集めました。
しかし、家賃収入が減ってしまう・入居者をオーナーが選べない・数十年間は賃料が一定とうたっていたのに不動産会社都合で一方的に変更された、などの問題が次第に浮上し、解約を求める方が増えてきています。
更にいえばサブリースは売却時に不利に働いてしまいます。なぜなら売却時の物件価格は、現家賃を元に算出する収益還元法を用いて決まり、サブリース契約をしていると、サブリースで保証される家賃が計算に使われてしまうからです。
今回はサブリース契約を解約する方法やその際の注意点などを紹介するので、契約してしまったものの今からでもやめたいと思っている方はぜひ参考にしてください。
サブリース契約を解除するには
サブリース契約を解除するためには以下の手順を踏む必要があります。
- 契約書の確認
- 解約通知書の作成
- 解約通知書の送付
契約書の確認
契約を解除したいと考えているなら、まずは契約書を広げ、解約予告期限や解約に伴う違約金などを確認しましょう。
特に解約予告期限はいつ契約を解除するかに関わってくるので、必ず確認しなければなりません。
解約通知書の作成
確認が終わった後に解約通知書を作成します。
フォーマットがあるわけではありませんが、解約通知書には以下の項目を必ず記入しましょう。
- 作成日付
- オーナーの住所
- オーナーの氏名
- 対象物件の名称
- 対象物件の所在地
- 契約開始日・終了日
公益社団法人 全日本不動産協会が通知のひな形を公開しているので、それをダウンロードして使用しても良いでしょう。
解約通知書の送付
必要事項を記載した解約通知書が完成したら次は送付です。
この際、不着時のトラブルを避けるためにも内容証明郵便をお使いください。
内容証明郵便は「いつ」「誰が」「誰あてに」「どのような内容の文書を送ったか」を郵便側が証明してくれるものです。
内容証明郵便は加算料金は440円のみなので、経済的な負担も少ないです。
また内容証明郵便で送りつつ、解約通知書が届いたかの確認もあわせて行いましょう。
確認を取ったという証拠を残しにくく、担当者がいないと何度もかける必要がある電話ではおすすめできません。メールやFAXなど、確認を取ったという証拠がしっかりと残る方法を選んでください。
相手に通知書が届き、その内容に同意を得られれば、契約終了期日をもってサブリース契約は終了です!
契約解除後に行うこと
晴れてサブリース契約を解除できたとしても、それですべてが終わりではありません。
解約後に行わなければいけないことは3つあります。
- 物件の現状把握
- 新しい管理会社との契約
- 入居者への対応
物件の現状把握
サブリース契約中は不動産会社が賃貸物件の管理を担います。
しかし、すべての業者が適切に管理してくれているとは限らず、中には物件の損傷を直さずに放置しているケースもあります。
また、共用部分をしっかりと清掃してくれているかどうかも業者によりけりです。
もしもそれらの業務を怠っていた場合、オーナーが自費で修繕や清掃を行わなければなりません。
新しい管理会社との契約
解除後も賃貸経営を続けるのであれば、新しい管理会社を見つける必要があります。
もちろんすべて自分で管理するのであれば第三者の手を借りる必要もありませんが、賃貸経営は非常に煩雑で、また知識がいないと入居者を探すのも難しいので、専門の業者に任せたほうが安心です。
賃貸管理会社の管理料はおおよそ賃料の2%から5%、サブリース契約のように空室リスクの回避手段には使えないものの安い手数料で依頼できます。
入居者への対応
サブリース契約ではあらゆる作業を不動産会社が肩代わりしてくれたため、オーナーが何か動く必要はありませんでした。
しかし、それを解除した後は、改めて入居者との間に賃貸借契約を結ばなくてはなりません。
加えて、その際に入居者の属性や連帯保証人の有無などもチェックしておきましょう。
サブリース契約時は不動産会社が入居者を選別していたため、オーナーにとって喜ばしくない人物、たとえば著しく備品を壊す方や近隣トラブルを起こしがちな方が住んでしまっていることがあります。
契約を結ぶのが困難な相手の場合、入居者と合意解除するか、明け渡し請求を行わなければなりません。
ただし、よほど正当な理由がない限り更新は拒否できないのでご注意ください。
解約する際の注意点
スムーズに解約できれば問題ありませんが、サブリース契約はトラブルに発展することが珍しくありません。
これは、サブリース契約ではオーナーが貸主、不動産会社が借主となり、借地借家法によって借主の不動産会社側が保護されてしまうことが原因にあります。
法的な保護を理由にして解約を断られることがあるので、その場合は問題の長期化も覚悟しておきましょう。
また契約途中での解約の場合、違約金が発生してしまうことがあります。
違約金の額は契約内容によりけりなので、契約書を必ず確認してください。
なお、2020年には「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」、通称「サブリース新法」が施工され、サブリースの誇大広告不当勧誘などが規制されるようになりました。
もし契約時の説明が不十分であった場合、それを理由にして解約が有利に進む可能性があります。
悪徳業者ばかりではない
当然ながら、サブリースを行っている業者は悪徳なものばかりではありません。
オーナーや入居者のことをしっかりと考え、適切に管理してくれる不動産会社も確かに存在します。
相応の費用はかかりますが、オーナーと業者相互にとって利益がある状態なら、わざわざ解約する必要はないでしょう。