売却にも費用がかかる!?出口戦略を考える上での注意点

出口戦略の重要性

不動産投資、特にワンルームマンション投資では出口戦略が非常に重要です。高利回りな築古戸建てや地方RC以外は、基本的に物件を手放したタイミングで、その投資が成功だったか否かが確定します

中でもワンルームマンション投資はインカムゲインが少ないため、より細かくシビアに収支のシミュレーションを立てなければなりません。

自分の場合だとワンルームマンションは、『5年で売却して収支がプラスになる物件』という条件で探すことが殆どで、もともと永続的なキャッシュフローは期待しておらず、購入と売却を繰り返す投資戦略を立てています。つまり、買う前から売ることを考えているのです。これを不動産投資の世界では『出口戦略』と呼びます。

今回は出口戦略を考える上で重要な、不動産売却時に必要な諸費用について解説をしていきます。売却時に必要な諸費用は大きく3つあります。

  • 仲介手数料
  • 譲渡所得税
  • ローン返済手数料

またこの他にも印紙税や抵当権抹消登記費用等の細かい経費もありますが、今回は費用として大きくなりがちなこの3つに焦点を絞って解説をしていきます。

これらの諸費用を加味せずにシミュレーションを立て、想定以上に手数料がかかってしまい、思ったほど売却益が得られなかった、とならないよう各諸費用の理解を深めましょう。

管理人こん
出口戦略の細かいことは以下の記事にまとめております!
関連記事

「出口戦略」ってよく言うけどさ... 出口戦略って何すればいいの? 不動産投資を勉強した人が一度は聞いたことがある言葉の一つである『出口戦略』。 「出口戦略を考えましょう!」と、不動産投資コンサルタントの人が偉そうに言いますが、「[…]

結局出口戦略って何をする?

売却時の諸費用

仲介手数料

賃貸契約をした経験がある方は、一度は払ったことがあるでしょう。不動産契約時には仲介手数料を、仲介してくれた不動産会社に支払う必要があります。

不動産に疎い方はご存じないかもしれませんが、実はあの仲介手数料は宅地建物取引業法で細かく定められています。賃貸の場合は一ヶ月分の家賃と同等額 × 消費税が上限と定められていますが、不動産売却においては売却価格に応じた手数料が発生します。

売却価格仲介手数料(上限)
200万円以下取引額 × 5%以下
200万円超400万円以下取引額 × 4%以下
400万円超取引額 × 3%以下

ワンルームマンション投資の場合は殆どが一番下段の、『取引額 × 3%以下』に該当すると思います。例えば売却価格が2,000万円だった場合、最大で60万円+消費税がかかってしまうのです。

この仲介手数料はあくまで上限であるため、不動産会社への交渉次第では手数料を安く済ませることも可能です。

譲渡所得税

不動産や株式、貴金属を売却して得た利益のことを『譲渡所得』と呼び、それらには税金がかかるので一般的に『譲渡所得税』と呼ばれます。実はこの譲渡所得税、法律上は正式な呼称ではなく、正確には単純に所得税と住民税のことです。

当然出口戦略は利益が出ることが前提になるため、この譲渡所得税も加味しなければなりません。

譲渡所得は、所有期間が5年以下の場合短期譲渡所得』、所有期間が5年超の場合は『長期譲渡所得』に分類され、所有期間は売却した年の1月1日における所有期間が採用されます。

またこの短期譲渡所得と長期譲渡所得はそれぞれ税率が異なり、短期譲渡所得は所得税15% + 住民税5% + 復興特別所得税0.315%で計20.315%、長期譲渡所得は所得税30% + 住民税9% + 復興特別所得税0.63%で計39%です。

譲渡所得税

この数字から見てわかるように、5年以内の売却は手数料を多く支払わなければならないため、不動産はできれば6年以上保有したほうが良いのです。

注意点としてはこの譲渡所得税は『売れた金額 - 買った金額』ではないことです。

正しくは『売れた金額 - ①取得金額 - ②譲渡費用』で計算がされます。②の譲渡費用は前述の仲介手数料など、売却にかかった諸経費です。

①の取得金額とは、買った金額から減価償却費を差し引いた金額です。つまり購入価格が2,000万円でも、すでに1,000万円償却していたら、①取得金額は1,000万円になってしまうのです。

ローン返済手数料

ローン返済手数料は銀行によって異なるのですが、例えばオリックス銀行の場合はローン契約機関によって手数料が異なります。仮に返済手数料が1%である場合、2,000万円を一括返済したら約20万円の費用が発生してしまいます。

不動産投資の商談の際、不動産会社から銀行の金利のみ案内を受けるケースが多いと思います。確かに銀行の金利は、月々の収支に大きな影響を与える重要な指標ではありますが、出口戦略を検討する上では、金利だけでは不十分です。

ローンの返済手数料(繰り上げ返済にかかる手数料)も同時に確認するようにしましょう。一見同じスペックのローンに見えても、実は一方は返済手数料が高く、売却時に想像以上の費用が掛かる可能性があるかもしれません。

まとめ

一般的に、不動産売却時にかかる費用は売却価格の4%~5%程度と言われていますが、売却をお願いする不動産会社や、その不動産の保有期間、ローンを組んでいる銀行によって、必要費用は大きく変わってきます。

購入前にこれらのことを整理し出口戦略を立てることが最も重要ですが、既に不動産を買ってしまった、という場合でも遅くありません。

冒頭の通り、不動産投資の成功・失敗は売却時点で決まります。改めて、自分はいつ不動産を手放すべきなのかを精緻に計算し、不動産投資を成功で終わらせられるよう出口戦略を立ててみましょう。