『出口戦略』の重要性
このブログでは何度も説明しているように、不動産投資は売却をした時点で成功だったか否かが確定します。キャシュフローで残債を全て返済できていればいいのですが、そうでない場合は物件を手放すまで成功だったかどうかは判断ができません。
最終的に解体が必要になり解体費用がかかってしまうケースもあれば、上手く売り抜けず家賃収入を加味しても収支トントン、みたいなことはよくあるのです。
特にワンルームマンション投資は一棟ものに比べキャッシュフローが少なく、どちらかというとキャピタルゲイン狙いの投資です。月々の収支が+10,000円でも、固定資産税を毎年10万円払っていたら年間の収支は+20,000円。エアコンや給湯器の修繕が必要になったら、赤字が出そうなキャッシュフローです。
そのためワンルームマンション投資においては出口戦略が非常に重要で、購入前に一番考えなければならないことなのです。
これは個人的な意見ですが、一棟マンションや・アパートの場合は出口戦略も重要ですが、どちらかというとインカムゲイン狙いの投資であるため、どのように高いキャッシュフローを保ち続けるか(空室率をいかに下げるか)の方が重要な気がします。
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出口戦略の考え方
仮に年のインカムゲイン(家賃収入、節税効果などから固定資産税や管理費・修繕費などの経費を差し引いた数字)がトントンであれば、ワンルームマンションの出口戦略自体は非常にシンプルでローンの残債より売却価格の方が高くなるポイントを見極めればよいのです。
例えば2,500万円の物件を購入、手出しが50万円でローン総額が2,450万円、ローン金利が2%、返済期間が35年の場合、月々の返済額は約82,000円です。
初年度の物件価格を2,300万円とおき、毎年1.5%ずつ査定額が下がるとすると、大体7年目~8年目で、仲介手数料も加味すると10年目~11年目で売却益を得ることができます。また以下の図を見ていただくと分かるように、長期保有すればするほどローン残高と物件価格の差が開き、売却益が大きくなっていきます。
また元利均等返済の場合は、ローン残債が少なくなればなるほど、利息分の支払い割合も少なくなるため、0年目~10年目の残債の減りよりも、20年目~30年目の残債の減りの方が大きくなります。
この図だけ見ると「ワンルームマンションは長期保有した方が良さそう」と思うかもしれませんが、実はそんな単純な話ではありません。長期保有すればするほど利幅が大きくなることは事実ですが、長期保有には大きく2つのリスクが存在します。
- 買主が見つからないリスク
- キャッシュフローのリスク
それでは次は、この2つのリスクについて考えていきましょう。
長期保有のリスク
買主が見つからないリスク
先ほど紹介した図は、あくまで「物件の査定額が毎年1.5%下落する」と仮定したものです。実際の物件価格はその年になってみないと分かりません。
「1年後、未来はこうなっている」という予想が当たる確率は高いですが、「10年後、未来はこうなっている」という予想を当てることは難易度が上がります。ましてや20年後、30年後の未来を正確に予測するのは不可能に近いです。
つまりいつ値段が大幅に下落するか逆に大幅に上がるかというものは分かるものではなく、いつでも自分が希望した値段で買主が見つかるとは限りません。
そのうえ、ローンは物件の築年数によって組める期間が変わります。基本は耐用年数(RCの場合47年) - 築年数であることが多く、築30年のRCは単純計算だと17年くらいしかローンが組めないのです。*但しあくまでこの数字は目安なので、収益性が高いと見られればもう少し長期のローンを検討してくれる可能性もあります。
とにかく築古物件であればあるほどローンの審査が通りにくく、売却の難易度が高くなるのです。築古物件を簡単に売るためには値段を下げるしかありません。買主が見つからなかった場合、自分が想定していた売却価格よりも下げざるを得なくなります。
そしてその想定売却価格は、保有する期間が長くなればなるほど予想が難しくなります。
キャッシュフローのリスク
冒頭の通り、ワンルームマンション投資はキャピタルゲイン狙いの投資です。そのため月々得られる収入は少なく、少しでも家賃が下がってしまうとかんたんにキャッシュフローがマイナスになってしまいます。
キャッシュフローがマイナスになる要因は主に3つです。
- 家賃下落
- 空室の可能性
- 金利の変動
長期保有=物件の築年数が古くなっていくため、当然家賃下落のリスクも高まります。「いやいや、家賃保証(サブリース)があるから大丈夫だよ」と思うかもしれませんが、サブリースは基本的に2~3年ごとに契約更新をするため、希望通り契約が更新できなかったら常に空室リスクと隣り合わせの状態になります。
また家賃下落・空室リスクの他に、金利の変動もキャッシュフローがマイナスになる要因の1つです。現在はアベノミクスやコロナ影響によって、政府・日銀はインフレを起こそうとしています。そのため低金利でローンを組むことができ、その低金利のおかげでワンルームマンション投資はギリギリ成り立っているのです。
しかし5年後、10年後、経済状況の変化によっては金利が高くなる可能性もあります。
前述の通り、ローン総額が2,450万円、ローン金利が2%、返済期間が35年の場合、月々の返済金額は約82,000円になります。この金利が0.5%上昇、つまり2.0%から2.5%になっただけで、月々の返済金額は約89,000円になり、年間84,000円の損失が生まれます。
更にこの状態で10年、20年持ち続けると、どんどん損失額が膨らんでいき、うまく売り抜けても最終的な収支はマイナスになりかねません。
利幅が狭い分、少しの変動でマイナスに転じるリスクがあるため、やはりワンルームマンション投資は長期投資に向いていないのです。
『出口戦略』の基準
「では、結局ワンルームマンション投資はどうすればいいのか?」と思うでしょう。ワンルームマンション投資の営業マンからは「年金対策で」と言われているものの、長期保有にはリスクがあります。かといって保有期間が短すぎると、売却時の利幅が狭くなってしまいます。
ハッキリ申し上げると、投資に答えはありません。ただ良し悪しはあります。
具体的には『早く売っても、利益が出る物件』は良い物件のです。ただし、その『早く』は自分自身で基準を決める必要があります。自分の場合は5年を基準としています。
保有期間が短い段階で黒字化できる物件であれば、あとはその時の市況に合わせて売るか、持ち続けるかのジャッジをすれば良いだけなので、じわじわと黒字化するまで待ち続ける期間が短くて済みます。
つまり、短い段階で黒字化するためには物件の値下がり率が低い or キャッシュフローが潤沢である必要があります。これはどちらも欠けてはいけない要素です。
特にキャッシュフローが潤沢である物件は値下がり率が高かったり、値下がり率が低い好立地な物件はキャッシュフローが悪いケースが多いので、物件選びは非常に重要です。
改めて、ワンルームマンション投資はキャピタルゲイン狙いの投資であり、長期保有にはリスクが伴います。
もちろん持ち続けた方が利幅は大きくなりますが、その物件のスペックや、経済的リスクを加味した上で、ご自身の基準で出口戦略を考えていくことが大切なのです。
「出口戦略」ってよく言うけどさ... 出口戦略って何すればいいの? 不動産投資を勉強した人が一度は聞いたことがある言葉の一つである『出口戦略』。 「出口戦略を考えましょう!」と、不動産投資コンサルタントの人が偉そうに言いますが、「[…]