「出口戦略」ってよく言うけどさ…
出口戦略って何すればいいの?
不動産投資を勉強した人が一度は聞いたことがある言葉の一つである『出口戦略』。
「出口戦略を考えましょう!」と、不動産投資コンサルタントの人が偉そうに言いますが、「結局なにすればいいの!?戦略って何!?」と思っている人が殆どなのではないでしょうか。
実際にGoogleで『不動産投資 出口戦略』と調べても、具体的な戦略の立て方について説明をしているサイトはどこにもありませんでした。
なので本記事で、出口戦略の立て方について徹底解説します!
そもそも出口戦略とは
本サイトで何度も説明している通り、不動産投資は『売却した時点で資産が残っているか否か』で成功したか、失敗したかが決まります。
また本サイトが重点的に扱っているワンルームマンション投資はキャピタルゲイン狙いの投資であり、そのためには売却(=出口)が非常に重要な鍵となります。
詳しくは以下の記事で紹介していますので、今回は割愛します。
『出口戦略』の重要性 このブログでは何度も説明しているように、不動産投資は売却をした時点で成功だったか否かが確定します。キャシュフローで残債を全て返済できていればいいのですが、そうでない場合は物件を手放すまで成功だったかどうかは判断ができ[…]
そしてキャピタルゲイン狙いの投資で有名なものといえば株式投資がありますよね。
配当や株主優待を考えなければ、株式投資は安く買って高く売る投資です。
会社の業績が上がると連動して株価が上がることが殆どであるため、株式投資の場合はこれから成長する会社を中心に投資をすればよいのです。
不動産も同じで、これから地価が上がりそうな地域、もしくは地価が下がりづらい地域の不動産に投資をすればよいのです。(なぜ地価が下がりづらい地域でも良いのかについては後ほど解説します。)
買った投資商材の値段が上がったとして、いつ売ればよいのか?重要なポイントはそこです。
株式投資の場合だと『◯%上がったら売る』という売却ルールを設定している人もいれば、テクニカルチャートなどを使いまだ伸びしろがあるのかを判断する人もいます。
一方で不動産投資の場合、サラリーマンの殆どはローン前提で投資することが多いため『◯%上がる』という概念がありませんし、株式投資のように頻繁に売買されているわけでもないのでテクニカルチャートもありません。
だからこその出口戦略なのです。
戦略っていうほど凄いものでもない
戦略と聞くと、身構えてしまう人も多いのではないでしょうか。
ただ実際は身構えるほど凄いものでもなく、私個人の見解だと出口計画、もしくは売却計画の方が表現として正しい気がしています。
そう言葉を置き換えると、先ほど紹介した株式投資の売却ルールにニュアンスとして近いことを感じていただけるのではないでしょうか。
つまり『不動産が◯◯になったら売る』という売却ルールを設定することこそが、出口戦略ということです。
出口戦略の立て方:利益の算出方法
ワンルームマンションを売却して利益を生む仕組み
『出口戦略』の重要性 このブログでは何度も説明しているように、不動産投資は売却をした時点で成功だったか否かが確定します。キャシュフローで残債を全て返済できていればいいのですが、そうでない場合は物件を手放すまで成功だったかどうかは判断ができ[…]
こちらの記事でも紹介していますが、ワンルームマンションを売却して利益を生む仕組みは以下の図の通りです。
赤い線がローン残高の推移で、青い線が物件価格の推移です。
赤い線と青い線が交わっているポイントが損益分岐点で、青い線よりも赤い線が下回れば利益が出るというわけです。
この仕組を踏まえると、赤い線であるローンの残高についてはローン金利が変わらない前提であれば、ローンを組んだ時点で正確に算出することができます。
そのため出口戦略において重要なのは、青い線である物件価格をいかに正確に算出するかということです。
物件価格の予測
それでは物件価格をどのように予測すればよいでしょうか。
10年後の売却計画を立てるために、計画を立てる物件より築年数が10年多い近隣の類似物件の取引価格を調べればよいでしょうか。
しかし売買に関する情報は、賃貸に比べると数が劣ります。
本サイトでは国税庁が公開している情報を元に、成約実績のデータをまとめているので、少しは参考になるかも知れません。
他にもマンションマーケットというサービスを使って、過去6年分の価格推移を調べることができます。
更には、売買よりも情報量が多い賃貸の情報を用いる『収益還元法』で不動産価格を算出する方法があります。
収益還元法の計算方法に関しては後述するとして、伝えたいことは類似物件の売買の取引価格も、マンションマーケットのデータも、賃貸情報を使った収益還元法も、どれも不完全であるということです。
どれも不完全であるからこそ、様々な方法・観点から物件価格を予測しなければなりません。
収益還元法
それでは売買よりも情報量が多い、賃貸の情報を使った収益還元法の方法について解説します。
収益還元法は以下の計算方法で算出されます。
ただ今回は分かりやすさを考慮して、以下の計算方法を使用したいと思います。精度は少し荒くなりますが、コチラのほうが手早く計算ができます。
利益の算出
最後に利益の算出を行います。
まず近隣の類似物件の取引事例・マンションマーケットのデータ・賃貸情報を用いた収益還元法などで、保有年数毎の物件価格の推移を算出し、その金額からローン残高を引きます。
更に、保有年数毎にかかる諸経費(固定資産税や空室時の家賃など)や、売却時にかかる諸経費(仲介手数料、譲渡所得税)などを引きます。
エクセルなどで計算を行い、値がプラスになったところが損益分岐点です。
先ほどのグラフのように、保有年数が長ければ長いほど利益幅は大きくなる計算になると思います。
出口戦略の立て方:売り時の見極め方
トータルリターン%で決める
投資の利回りは低ければ低いほどリスクが低く、高ければ高いほどリスクが高くなります。
投資ではありませんが、元本保証の定期預金の年間利率は0.1%程度のものが殆どです。
巷で話題のFIRE(Financial Independence, Retire Early)では4%ルールというものがあり、端的に言えば4%であれば安定して利益確保できるというものです。
正確には『米国株式市場の年間平均成長率7% - 米国の年間インフレ率3% = 4%』という計算がされています。
「なんだよアメリカ基準で、しかも株式の話か!」と思うかも知れませんが、もし仮に利回り4%以上で安定した投資先があれば、世界中の大富豪たちは寄ってたかってその投資先に大金を投じるでしょう。
そういう意味ではこの4%という数字は基準にしやすいと言えるのではないでしょうか。4%以下なら比較的安全で、4%以上の場合はリスクが高くなるという考え方です。
とはいえ世界中のお金は米国株式市場に集まっている = 良い投資先だと思われているということです。もっと保守的に考えるなら3%くらいが良いと思います。
では、それをどのようにキャピタルゲイン狙いのワンルームマンション投資に置き換えればよいでしょうか。
単純にトータルリターン%を購入時の物件価格に当て込めばいいだけです。
築年数で決める
他の方法として、築20年を基準(もしくは築12年)とすることもできます。
なぜかというと、売却時の買い手が同じく不動産投資目的である可能性が極めて高いためです。
ワンルームマンションの場合、ローンを組んで実施することが多いため、なるべく築浅であるほうがローンを組む際に有利になるケースが多いです。
一般的にローンの借入期間の上限は『耐用年数 - 築年数』ですが、一部の銀行ではワンルームマンションに限って『55年 - 築年数』としています。
鉄筋コンクリート造の耐用年数は47年なので、一般的な銀行では築12年を超えると35年ローンが組めなくなり、一部銀行では築20年を超えると35年ローンが組めなくなります。
不動産投資を30年ローンで行う人や、一部手持ち資金を出す人がいないわけではありませんが、ワンルームマンションに投資する多くのサラリーマンは初期費用ゼロで実施することが多いです。
そのため、次の投資家のためにも早くて築12年、遅くて築20年を売却の基準とするとよいでしょう。
出口戦略を踏まえた良い物件の基準
これまで説明したとおり、出口戦略は『いつ、どれくらいの利益が出るかの予測』と『売る時の基準』から成り立っています。
それを踏まえて、良い物件とは何か?を私なりに解釈すると『いかに早く売る基準の年を迎えることができるか』です。
不動産投資は、他の投資商材に比べ長期的です。長期的であるがゆえに、様々なリスクを考慮しなければなりません。
天災のせいで、マンションごと倒壊するという可能性も100%拭い去ることができません。
そのためには、なるべく早く売りぬき利益を確保することが重要です。ですので、良い物件の基準は立地でもなく、周辺施設の充実差でもなく、駅から近いことでもなく、いかに早く売れるかなのです。
したがって今まで説明してきたような利益の予測と、利益確保の基準を決める必要があり、これこそが出口戦略だということです。
さて、皆さん購入前にきちんと出口戦略は立てられているでしょうか?
この記事を読んでも「出口戦略の立て方が分からない」という人は許しませんよ!