ウッドショックで不動産価格はどうなる?今後の業界に与える影響とは

ウッドショックの背景

2020年終盤頃から急激に取り上げられるようになったのが「ウッドショック」のニュースです。

不動産業界に大きな影響を及ぼすこの問題は、アメリカや中国といった大国での木材需要が急激に高まったことが背景にあります。

ウッドショックは、木材が日本に入ってこない状況、価格が急激に高騰している状況を指しますが、原因は新型コロナウイルスの影響で人の生活が大きく変化したことです。

全世界でテレワークが推進され、都市から郊外へ移住するため新たに家を建てる需要が急激に高まったことが原因に挙げられます。

特にアメリカ政府はこうした人々のニーズを活かして景気回復を狙うため、より住宅購入がしやすいよう金融緩和策も施行されました。

こうしたことからアメリカ産の木材は当然のことながら国内消費優先となり、主要な木材の輸出国もターゲットをアメリカに絞る動きになります。

同様の動きは中国などでもあり、利ザヤを狙った買い占めなどにも発展し、結果的に輸入に頼り切りだった日本の手元には木材が入ってこない状況となりました。

残念ながらウッドショックは収束の目途すら立っておらず、この状況がいつまで続くかは不明となっています。

管理人こん
不動産価格が高騰しているのは国内需要が上がったという内的要因もあれば、ウッドショックという外的要因もあったということです!

不動産業界への影響は

ウッドショックのニュースでは、度々「不動産業界が震撼」という表現がなされています。

建築に欠かせない木材がないのですから当然ですが、木材業界も2021年3月頃までは耐えていたものの、2021年4月以降は急激な値上がりに転じました

国土交通省が行った「国内の主要建設資材需給・価格動向調査」(5月1~5日実施)によると、木材の需給状況はやや逼迫になっており、これを受けて不動産投資業界にも影響が考えられます。

たとえば、不動産投資事業を考えたときに、建築費が上昇して納期が遅れる問題がある以上、アパートなどを新築する計画でも建築コストが予想外に増大し、資金計画が狂うといったリスクは避けられません。

ここで無理に計画通りに進めようとすれば建築コストが増大し、借入額が増え返済計画が厳しくなることも予想されます。

家賃を高くすれば回収できるとしても、結局それは入居者誘致活動に悪影響となり、空室問題にも発展する懸念があります。

こうしたことから、不動産投資業界も様子見状態となり、結果として予定していた建設計画をいったん中止したり、白紙に戻ったりする動きも出てきました。

残念ながらウッドショックは不動産業界だけでなく、不動産投資業界にも影を落としていることは否めません。

管理人こん
投資家としてもウッドショックは注目しなければならないトピックですね

特に影響を受けるのはローコスト住宅と建売

ウッドショックが大打撃を与えるのは、すべての住宅メーカーではありません。

特にローコスト住宅をメインに売る住宅メーカーや建売を主とするメーカーは、安い海外の木材に頼り切りのため影響は大きくなります。

一方で、もともと国産の木材しか使わない住宅メーカーであれば、そこまでの大打撃にならずに済む期待はあります。

では、あらゆる住宅メーカーが国産材へ切り替えれば良いかといえば、そう簡単ではありません。

そもそも建物設計が輸入材ありきで計算されており、そのままでは強度が変わってしまうことから設計を変える必要に迫られます。

もし、結果的に使用木材量が増えたとすれば、国産材でもコストが跳ね上がる可能性がないとも限りません。

もっとも、国内の供給体制がそう簡単に追いつくわけもなく、切り出した樹木が木材として使えるようになるまでには30年~50年もの期間を要します。

一時的な社会情勢で生産体制が変えられる業界ではないため、ウッドショックに追従するようなことはないと考えられます。

結果的に不動産業界全体は長い目で見て一過性の現象と捉え、状況が落ちつくのを静観することになるでしょう。

不動産価格への影響は

それでは不動産価格は今後どうなるのでしょうか。

たとえば、住宅を購入する立場で考えたときに、高騰しているのは梁や柱に使う集成材となります。

実は梁の9割、柱の6割が輸入材というのが国内の現在の一般的な建築であり、家全体で考えたときには原価の3%~4%という数字になるのです。

もちろん一概に言えませんが、こうした限定的な木材の調達価格がウッドショックで値上がりした場合、1棟あたりの販売価格は20万円~30万円の上昇という予測もあります。

事実、オープンハウスが5月に発表している資料によると、販売価格を4,400万円としたときにウッドショックによる値上がり分は36万円としています。

これを大幅な値上がりと見るか否かは人それぞれです。

国内でのウッドショックの余波に対してどのように考えるかは、実際に資金を出す当人が判断するしかないでしょう。

ウッドショックによる値上がり率は3%~4%

国内の建築費は下がらない?

ここで注意しておきたいのが、ウッドショックが収まれば国内の建築費が下がるとは言えないことです。

国土交通省が示している「建設工事費デフレーター」(建築費の指数化指標)を見れば、国内の建築費はずっと上昇し続けています。

国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。…

ここ20年を見れば、2002年に比べ2019年には木造住宅建築費が約2割の上昇です。

この理由は職人不足、職人の高齢化であり、この問題に対する解決策はいまだまったく見えていません。

つまり、ウッドショックによる材料費高騰は一時的でも、年が進むごとに建築業界の人手不足が悪化の一途をたどれば、不動産価格が下がる要素はないことになります。

乱暴に言えば、不動産の建築価格は「常に今が一番安い」状況が継続しており、この傾向はウッドショックにもコロナ禍にも関係なく進行すると言えるでしょう。

関連記事

3Dプリンターで家が建つ? [caption id="attachment_882" align="aligncenter" width="1024"] 参照:3DPRINTEDHOUSE[/caption] このサイトに訪れて[…]

3Dプリンタで家が建つ!?
管理人こん
インフレも進んでいるので、やっぱり不動産投資は今後も可能性ありそうですね!