民泊営業とは
Airbnbや2016年の民泊営業の規制緩和によって、民泊という言葉が一般的になってきたのは最近のことです。
一方で様々なM&Aサイトで民泊営業物件が売りに出されており、民泊営業って儲かるの?と思っている人は多いのではないでしょうか?
今回は民泊営業をオススメしない理由を4つにまとめて解説します。
おすすめできない4つの理由
用途地域の制限
ワンルームマンションで民泊営業をする場合にハードルとなるのが、建物の用途変更です。
ワンルームマンションの場合は、共同住宅という用途で建てられているのが一般的です。
しかし、ワンルームマンションで民泊を経営する場合には、この共同住宅から用途を変更しなければなりません。
具体的に民泊を経営する際の用途としては、『ホテル、旅館』という用途に変更しなければならないのです。
ここで問題になってくるのが、用途地域というもので、共同住宅というのは用途地域の影響を受けにくい建物用途になります。
全部で12区分ある用途地域のうち、ほとんどの用途地域(11区分)で共同住宅は建築が可能であるため、ワンルームマンションが居住用である限り、そういった影響についてはほぼ考える必要がないのです。
しかしこれが民泊の場合、『ホテル、旅館』という用途になってしまいますので、全12区分ある用途地域のうち、6区分しか営業することができないのです。
共同住宅として建築できる11地域のうち、旅館、ホテルが営業できない6地域に建築されていた場合には、そもそもワンルームマンションを民泊に変更すること自体が無理ということになります。
このように用途地域の制約によって、そもそも営業自体ができないこともあるため、民泊営業を検討している場合は注意が必要です。
消防設備の設置
ワンルームマンションで民泊営業をする際のハードルには、消防設備もあります。
基本的に消防設備は、建物全体の延べ面積のうちどのくらい民泊で使うかによって異なってきます。
建物自体が広い場合には、もともと自動火災報知設備設置の厳しい義務が課されているので、そこから民泊に変更したとしてもそれほどネックになることはありません。
しかし建物自体の広さがそこまで広くない場合は、民泊部分を含め全てに火災報知設備を設置する義務が発生してしまうのです。
また、消防設備には、火災報知器だけではなく、誘導灯などの設置も関係しているのです。
誘導灯は民泊部分にのみ設置してもまったく意味がありませんので、建物全体の改修が必要になってくる可能性があります。
建物側の規約
ワンルームマンションで民泊を経営する場合に関係してくるのは、法律はもちろんですが建物側の規約も関係します。
家主が借主に住居を提供する際に、独自のルールを設けている場合がほとんどです。
そして、この独自ルールに民泊禁止という条件が明記されていることも珍しくはありません。
このマンションやアパート側のルールについては、いくら法律を守っていても、家主や管理会社がダメといえばダメになってしまうので注意が必要です。
近隣住民とのトラブル
仮にワンルームマンションで民泊を営業できたとしても、近隣住民とのトラブルが起こる可能性は捨てきれません。
民泊の利用者の中には、深夜に騒ぐような人たちもいます。この騒音トラブルが発生し、近隣住民と険悪なムードになり、管理会社に言いつけられる可能性もあります。
更には『騒音トラブルはあなたの客の問題だ!』と、同業者との間に摩擦が起きる可能性もあります。
本業でホテルや旅館を営業をしているならまだしも、副業としてやるにはちょっと苦労が多すぎますよね。
副業としてはやっぱりオススメできない
今までは、ワンルームマンションでの民泊営業はさらに難しい条件でした。
しかし先述の通り、2016年に民泊営業で必要な簡易宿所の許可基準が緩和されたことによって、世間から一層注目されるようになりました。
その緩和内容は、面積基準とフロントの設置です。
特にフロントの設置義務がなくなったことにより、副業としての民泊営業が流行りだしたのではないでしょうか。
今まで簡易宿所では『絶対にフロントが必要』というわけではなかったのですが、厚生労働省からなるべく設置するようにとの通知が各自治体に出されており、そして各自治体が通知に基づきフロント設置を義務付けていたという状況でした。
しかし、ワンルームマンションで民泊を営業する場合に、フロントの設置はスペースの観点から考えても現実的ではありませんでした。この状況が厚生労働省からの通知によって、各自治体にその条件を緩和するように求められたのです。
このような規制緩和を見ていると、ワンルームマンションでの民泊営業を推進しているようなイメージにも捉えることができますが、やっぱり現実はワンルームマンションにおける民泊営業は厳しい状態だと言えるでしょう。