インパーマネントロス(inpermanent loss)について分かりやすく解説!

・分散型金融「DeFi」が理解できる
・インパーマネントロスが理解できる
・インパーマネントロスの回避方法を知れる

分散型金融「DeFi」とは?

中央集権型金融CeFiと分散型金融DeFiの違い

分散型投資「DeFi」は仮想通貨の技術が生んだ、今までの金融業界の仕組みを覆す画期的なシステムです。

まずはイメージしやすいように従来の銀行の仕組みから説明していきます。

 

銀行にお金を預けると年間0.001%くらいの金利を受け取ることができますよね。100万円預けていると、年間1,000円くらい銀行からお金が貰うことができます。

銀行の収益構造は以下の図の通りです。

銀行の収益構造

銀行は、みんなが預金したお金を元本に他の人にお金を貸し出します。そして預金してくれた人に、預金額の0.001%をボーナスとしてプレゼントしているイメージです。

銀行は「人にお金を貸し出す金利」と「預金してくれた人に支払う利息(ボーナス)」の差額で収益を生んでいます。

このような従来の銀行を「中央集権型金融」と呼びます。中央に位置する銀行が、資産の管理をしているということですね。

他にも銀行では、誰かの口座にお金を振り込む際に振込手数料がかかりますよね。これは銀行がお金の受け渡しおこなっているため、仲介料がかかっているイメージです。

 

一方で分散型金融「DeFi」はどのような構造になっているでしょうか。

DeFiはスマートコントラクトという技術を使うことで、中央に管理者がいない状態で運営をすることができます。

コントラクトとは日本語で契約という意味なので、直訳すると「賢い・洗練された契約」という意味ですね。

超短的にスマートコントラクトを説明すると、上述の銀行のような仲介役を省き、全てプログラム上で自動契約・自動実行がされるものです。

管理人こん
それって大丈夫なの?と思うかもしれませんが、スマートコントラクトは透明性や公平性を保つために様々な工夫がされています。
ここでは詳細の技術については解説しませんが、銀行のような仲介役がいなくなるとどうなるのでしょうか?
先ほどと同じように図で表すと以下の通りです。
分散型金融
銀行という仲介役がいなくなることで、お金を持っている人はお金を持っていない人に直接お金を貸し出すことができます。
そのため、銀行からボーナスとしてもらえる0.001%程度の金利ではなく、銀行が取引しているような高い金利を得ることができるということです。
管理人こん
悪い言い方をすれば中抜きがなくなるということですね!

イールドファーミングとは?

先走って説明してしまいましたが、上図の通り分散型金融「DeFi」では、自身が持っている仮想通貨を貸し出し、流動性を提供することで金利を得ることができます。

これを仮想通貨界ではイールドファーミングと呼ばれています。

イールドファーミングでは、従来の銀行でもらっていた金利0.001%分の利息とは比べ物にならないくらいの利息を得ることができます。

金利が小さいものだと30%程度、大きいものだと200%を超えることもあります。

200%ということは、100万円預けていれば1年間で+200万円得ることができる計算になります。

管理人こん
そんな美味しい話ありますか!?って思いますよね。
そうなんです。美味しい話には必ず落とし穴があります。
その落とし穴が今回紹介するインパーマネントロスなのです。

インパーマネントロスとは?

イールドファーミングの絶対的ルール

イールドファーミングができる代表的なサービス「PancakeSwap」については別の記事で紹介しています。

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pancakeswap

さて、イールドファーミングにおける「流動性の提供」はどのように行われるのでしょうか。

流動性の提供とは、2つの通貨を同じ価値に揃えて提供することです。

仮想通貨で例えるとややこしくなるので、米ドルと日本円で例えたいと思います。

仮に米ドルを20ドルを保有しており、1ドル=100円である場合、流動性の提供をするためには米ドルを10ドル、日本円を1,000円用意する必要があります。

 

次に、イールドファーミングには絶対的ルールがあります

流動性を提供したタイミングでは1ドル=100円かもしれませんが、それぞれの通貨の価値は毎秒変動し続けています。1ドル=100円のときもあれば、1ドル=110円になるときもありますね。

イールドファーミングの絶対的ルールは、この通貨ごとの価値変動に対応するためのものです。

そのルールは以下の通りです。

  1. 通貨Aの量 × 通貨Bの量 = 一定
  2. 通貨Aの量と通貨Bの量の割合は一定
管理人こん
なんだかちょっと分かりづらくなってきましたね・・・
同じように米ドルと日本円を例にして、まず「通貨Aの数 × 通貨Bの数が一定」を計算してみましょう。
10ドル × 1,000円 = 100,000

①のルールは、この100,000という数字を常に保たなければならないというものです。

 

では通貨ペアの価格が変動し、1ドル=110円になった場合どうなるでしょうか。

何も考えずに計算をすると、10ドル × 1,100円 = 110,000となるため、このルールから逸れてしまいます。

この110,000という数字を補正する時のルールとして「通貨Aの量と通貨Bの量の割合は一定」が存在します。

 

まず、現在の米ドルと日本円の量の割合を計算してみましょう。

10ドルと1100円の割合は、10:1100=1:110

②のルールは、補正時に1:110という割合を保たなければならないというものです。

管理人こん
110,000 → 100,000に補正する際に、現在の量の割合である1:110は守らなければならないということですね。

 

それぞれ①②のルールを守りながら計算をすると、以下のようになります。

・約9.53ドル × 約1,049円 = 100,000
・9.53:1,049 = 1:110
このようにしてイールドファーミングでは、通貨ペアの価格変動に対応しているのです。

インパーマネントロスとは?

インパーマネントロス(inpermanent loss)は、日本語で訳すと変動損失です。

「イールドファーミングの絶対的ルール」の説明を理解できているなら、なんとなく察しているのではないでしょうか。
うさぎさん
あれ、通貨減ってない?
管理人こん
そうなんです。減ってます。
1ドル = 110円に変動した場合、提供する流動性は「9.53ドル・1,049円」となっています。
提供する流動性は、2つの通貨を同じ価値に揃える必要があるため、1,049円を1ドル110円で計算すると、当然9.53ドルとなります。
現在の総資産は9.53 + 9.53 =19.06ドルになりますが、当初保有していた米ドルは20ドルなので、約1ドルの損失が生まれていることが分かります。
この現象がインパーマネントロスなのです。これはイールドファーミングを行うと必ず起こることなので注意が必要です。

インパーマネントロスの”逆”も起こる

管理人こん
ロス(損失)のってことは、プラスということですね!
なぜインパーマネントロスのが起こるのか、今度は1ドル=90円になった場合の計算をしてみましょう。
同じく最初は1ドル100円で、流動性の提供は10ドルと1,000円だとします。
1ドル=90円になると、10 × 900 = 9,000となるため、1:90を保ちながら100,000に補正する必要があります。
計算すると以下の通りです。
・約10.5ドル × 約949円 = 100,000
・10.5:949 = 1:90
当然、1ドル=90円だと949円は10.5ドルになり、10.5 + 10.5 = 21ドルとなるため、当初保有していた20ドルより1ドル多くなっていることが分かります。
つまり米ドル/日本円で例えると、円安になる(円の価値が下がり、1ドルで多くの円を得られる)と損失が発生し、円高になる(円の価値が上がり、1ドルで少ない円しか得られなくなる)と利益が生まれるということです。
PancakeSwapだと殆どの通貨ペアが、バイナンスコイン × 別のコインとなっているため、その別のコインの価値が上がればインパーマネントロスのが起こるのです。

インパーマネントロスを最小限にするためには?

分散投資をする

今まで説明してきたとおり、インパーマネントロスは必ず発生します。大小に関わらず、イールドファーミングを始めて数秒でインパーマネントロスは起こると言っても過言ではないでしょう。

その被害を最小限にする方法の1つとして分散投資が考えられます。

インパーマネントロスは価格の変動によって起こり、かつ重要なのは「主要コイン × 別コイン」の別コインの方です。

先述の通りPancakeSwapではバイナンスコインが、他のイールドファーミングではイーサリアムが主流です。これらの主要コインも価格変動はあるものの時価総額が大きいため、「別コイン」に比べると価格変動が緩やかです。

一方で「別コイン」に分類されるまだ知名度が低い仮想通貨は、主要コインの価格変動の影響も受ける上に、開発状況や上場などによって大きく価格が動くことが多いのです。

変動要素が大きい「別コイン」を1つに絞らずに、多くのペアでイールドファーミングをすることで、インパーマネントロスの被害を最小限にすることができます。

将来有望な通貨を選定する

投資において当然なことではありますが、通貨ペアを選ぶ際に利回り(APR)が大きいペアを適当に選んではいけません。

「別コイン」の価値が上昇すれば、イールドファーミングの”“を狙うことができるため、利息に加えてキャピタルゲインも得られる可能性があります。

管理人こん
思考停止して高いAPRの通貨ペアを選ばずに、一つ一つの仮想通貨の特性や、過去のチャートから通貨ペアを選びましょうね!