価格変動が大きい仮想通貨
ビットコインの価格がたった半年で半減
仮想通貨は株式や為替に比べ、価格変動が大きいということを認識している人も多いと思います。
ビットコインが世間に認識され始めた2017年初頭のビットコインの価格は、1ビットコインあたり約20万円程度でした。
しかし同年、2017年末には1ビットコインあたり約200万円にまで高騰し、「億り人」という言葉が流行したことも記憶に新しいと思います。
1年間で価格が約10倍になったビットコインですが、現在でも価格の急上昇・急降下を繰り返しており、2021年12月、1ビットコインあたり約580万円だったビットコインは、たったの半年で約250万円まで下落をしました。
このような状況が続くことから、やはり仮想通貨は高リスク・高利回りの投資商材であるといえ、安定した運用が見込める投資信託などを好む人達にとっては、手を出しづらいものではないでしょうか。
価格が安定しているステーブルコイン
仮想通貨の中でも実は、価格が非常に安定している通貨があることはご存知でしょうか。
有名な通貨だとTether・USD Coinなどが挙げられます。
これらは「ステーブルコイン」や「ペッグ通貨」と呼ばれ、仮想通貨ではなく、法定通貨である円や米ドルなどと同じ価格を目指す通貨です。(本記事では、ステーブルコインで統一して解説をします。)
上述した例のTetherやUSD Coinは、米ドルと連動した通貨で、若干の誤差はありつつも、殆ど米ドルと同じ価値がある通貨です。
もちろん日本円と連動したステーブルコインも存在しており、GMOインターネット株式会社の連結会社で、米国の現地法人であるGMO-Z.com Trust Companyが発行する「GYEN」や、Web3.0のスタートアップ企業であるJPYC株式会社が発行する「JPYC」などがあります。
「法定通貨と連動しているのに、なぜ仮想通貨にする必要があるの?そのまま法定通貨買えば良くない?」と思う方もいるかもしれませんが、ステーブルコインを購入するメリットは2つあります。
- 購入手数料が安い
- ステーキングができる
みずほ銀行の米ドル購入の手数料は1米ドルあたり2円と定められています。殆どのメガバンクはこれくらいの手数料だと思います。
つまり1万円分の米ドル(約80米ドル~100米ドル)を購入しようとすると160円~200円かかる計算になります。これが10万円分となるとその10倍、100万円分となるとその100倍かかってしまいます。
一方でBinance(バイナンス)であれば、通貨の交換手数料は100円以内で済むことが殆どです。
法定通貨から仮想通貨に交換する際は多少の手数料がかかってしまいますが、仮想通貨同士の交換であれば非常に安い手数料でステーブルコインを手に入れることができますし、法定通貨から仮想通貨の交換も、メガバンクの外貨購入手数料に比べれば安く済みます。
外貨を購入したいと考えている人にとっては、ステーブルコインの手数料は非常に魅力的であると言えるでしょう。
もう一つのメリットである「ステーキングができる」については詳しく後述します。
仮想通貨の「ステーキング」とは?
ステーキングってなに?
ステーキングとは、仮想通貨を保有し、ブロックチェーンのネットワークに参加することで、報酬を得る仕組みのことです。
分かりやすく説明をすると、銀行の定期預金のようなイメージです。
銀行は人々の預金を活用して、企業にお金を貸し出し、その貸し出し金利で収益を上げています。そのため、半年や1年毎にお礼として預金金利を受け取ることができますよね。
ステーキングも同じような仕組みで、特定の通貨を保有・預け入れることによって、その御礼として報酬を受け取ることができるのです。
有名なステーキングサービスとしてUniswap(ユニスワップ)やPancakeSwap(パンケーキスワップ)などが挙げられます。
また多くのサービスでは、ステーキングをするためには最低2つの通貨を必要とします。例えばBinance(バイナンス)が発行しているBNBと、ステーブルコインであるTetherなどをセットで預け入れなければなりません。
しかしPancakeSwap(パンケーキスワップ)やBinance Earn(バイナンスアーン)などの一部のサービスでは、1通貨のみでステーキングをすることが可能なのです。
ステーキングのメリット
現実世界では「定期預金」というものがあるにも関わらず、わざわざ仮想通貨でステーキングをするメリットはあるのでしょうか。
ステーキングをするメリットは「圧倒的な利回り」です。
PancakeSwap(パンケーキスワップ)で扱っている銘柄では、年間利回りが100%を超えるものもありますが、定期預金の場合、定期預金金利が高いSBJ銀行でも、その利回りは0.2%です。
単純計算をすると100万円預け入れた場合、PancakeSwap(パンケーキスワップ)で預け入れると、1年後には200万円になっていることに対し、SBJ銀行に預け入れると、1年後には100万2,000円にしかなっていません。
需要が高まっている通貨だからこそ高い利回りを出すことができ、仮想通貨でステーキングをする理由は「利回りが高い」に尽きるでしょう。
ステーキングのデメリット
では、そんなステーキングにデメリットはあるのでしょうか。
デメリットは冒頭に述べた通り「価格変動が大きい」ことです。
例えば利回り100%の銘柄に100万円預け入れたとして、先述の通り単純計算をすると、何事もなければ1年後には200万円になっている筈です。
しかし仮想通貨は価格変動が激しいため、預け入れた当初は100万円分の価値があったとしても、1年後に価値が半減していればプラスマイナスゼロです。半減以下の場合は、むしろマイナスになってしまいます。
更に言えば、ステーキングでは一般的に最低2通貨を預け入れないといけないため、価格変動のリスクは倍増しているといえるでしょう。
加えて2通貨のうち、片方の通貨だけ下落してもマイナスになってしまう「インパーマネントロス」という、ステーキング特有のリスクもあります。
インパーマネントロスについて説明をすると長くなってしまうため、端的に言えばこれまでの説明の通り、価格変動による損失の特殊なケースと捉えていただければと思います。
まとめると、ステーキングによる収益拡大を目指すなら、価格変動が小さい、もしくは将来有望な通貨でステーキングをすることが重要となるのです。
そこで、本記事では低リスク・高利回りでステーキングができる「ステーブルコインでのステーキング」を紹介したいと思います。
Binance Earn(バイナンスアーン)でステーキング
Binance Earn(バイナンスアーン)とは?
Binance Earn(バイナンスアーン)とは、仮想通貨取引所であるBinance(バイナンス)が提供するステーキングやマイニングなどを集約したサービスです。
Binance Earn(バイナンスアーン)内には、「セービング」「ステーキング」「ファーミング」「デュアル投資」というカテゴリがありますが、今回紹介するのは「セービング」です。
「え、ステーキングじゃないの?」と思うかもしれませんが、Binance Earn(バイナンスアーン)で提供されるセービングは、ステーキングの一種です。
セービングは、ステーキングに比べて利回りは劣りますが、手数料が無料であったり、いつでもセービングを止めることができる「フレキシブルセービング」があるため、何かあった時でも安心して対処することができます。
Binance Earn(バイナンスアーン)の最大の特徴は、Binance(バイナンス)内で取引が完結するため、MetaMask(メタマスク)などの仮想通貨ウォレットをわざわざ用意する必要がないということです。
Binance Earn(バイナンスアーン)は、仮想通貨取引所であるBinance(バイナンス)に登録すれば誰でも利用することができます。
Binance Earn(バイナンスアーン)の使い方
まずはBinance(バイナンス)を登録し、通貨をBinance内で購入、もしくはBinanceに送金をしましょう。
Binance(バイナンス)内で仮想通貨を購入する場合は、クレジットカードによる入金がおすすめです。
無事、Binance(バイナンス)内の口座に仮想通貨が入ったら、「収益」のタブから「Binance Earn」に進みます。
今回はステーブルコインでステーキングをしたいので、「セービング」というメニューに進んでいきます。
セービングの画面に遷移すると、2つのセービング方法が用意されています。
- フレキシブルセービング
- 定期セービング
フレキシブルセービングは先述の通り、いつでも入出金することができ、定期セービングは特定の期間預け入れます。
フレキシブルセービングの方が低リスクでできるため、今回はフレキシブルセービングを紹介します。
フレキシブルセービングができる銘柄の中から、ステーブルコインを見つけましょう。
Binance Earn(バイナンスアーン)ではUSDCとUSDT(Tether)の取り扱いがありました。同じ法定通貨に合わせたステーブルコインの場合、そこまで大きな差はないので、総流通量が大きいUSDT(Tether)を選択するとよいでしょう。
最後に「定期登録」のボタンを押し、預け入れたい通貨量を設定して完了です。
USDT(Tether)の場合、2,000USDT(約16万円~20万円)までは10%ですが、2,000USDT以上は3%、75,000USDT以上の場合は1%となるようです。
ちなみに銀行でも、外貨の定期預金を行うことができ、米ドルの場合は2%前後で提供している銀行が殆どです。
このことから、外貨の定期預金をするよりもBinance Earn(バイナンスアーン)でステーキング・セービングするほうがお得であるといえます。
ステーブルコインでステーキングをするメリット・デメリット
ステーブルコインでステーキングするメリット
これまで説明してきた通り、ステーブルコインでステーキングするメリットは「低リスク・高利回り」であることです。
銀行が提供している外貨の定期預金に比べて利回りが大きいこともそうですが、「フレキシブルセービング」を使えば、急激な価格変動にも対処することができます。
「仮想通貨で億り人を目指したい!」という人にはオススメできない方法ではありますが、投資の世界では「利回り5%」を叩き出すだけで十分優秀です。
特にインデックス投資の一本釣りの方には、分散投資の手法の一つとして「ステーブルコインでステーキング」を取り入れても良いのではないでしょうか。
ステーブルコインでステーキングするデメリット
それではステーブルコインでステーキングするデメリットはあるのでしょうか?
デメリットは2つ挙げられます。
- 日本円のステーブルコインでステーキングできるサービスがない
- アルゴリズムの脆弱性による暴落
1つ目のデメリットは「日本円のステーブルコインでステーキングできるサービスがない」ことです。
冒頭に紹介した通り、日本のステーブルコインには「GYEN」や「JPYC」がありますが、2022年6月時点で、これらのステーブルコインでステーキングできるサービスは存在しません。
そのため、ステーブルコインでステーキングをするためには米ドルである必要があり、日本人の我々にとっては「価格変動の為替リスク」があるということです。
2022年6月現在、日米の金利格差が広がったことによる影響で、1米ドルあたり130円を超えてしまっていますが、仮にこれが以前の水準である1米ドルあたり100円~110円前後になってしまうと、20%の下落幅になってしまいます。
ステーブルコイン以外の通貨の下落幅に比べれば可愛いものですが、ステーブルコインのステーキングといえど、価格変動のリスクはつきものなのです。
2つ目のデメリットは「アルゴリズムの脆弱性による暴落」が挙げられます。
2022年5月にUSDT(Tether)やUSDCなどと同じく、米ドルに合わせて価格調整をしているテラUSD(USTC)が暴落しました。
暴落の真相は定かではありませんが、巷ではアルゴリズムの脆弱性や、テラUSDに大量の預け入れをしていた投資家が一斉に資金を引き出したことが原因だとされています。
ステーブルコインは価格が安定していることで人気を博していましたが、このテラUSDの暴落は、ステーブルコインの安定性は保証されているわけではないということを証明してしまった事件なのです。
テラUSDは新興のステーブルコインであったため、このような事件を引き起こしてしまいましたが、流通量が多いTetherやUSDCにもこの危険性が全くないとは断言しきれません。
ステーブルコインでステーキングする際は、必ずこの2点に注意するようにしましょう。
Binance Earnでステーキングする方法まとめ
これまで仮想通貨取引の危険性や、その中でも安定して収益を上げる方法であるBinance Earn(バイナンスアーン)でのステーブルコインのステーキングについて紹介してきました。
ステーブルコインのステーキングのデメリットでも説明した通り、仮想通貨取引自体には様々なリスクがはらんでいます。
きちんとそのリスクを理解した上で、取引にのぞむようにしましょう。
最後に本記事のまとめです。
- ステーブルコインは価格が安定した仮想通貨
- ステーブルコインをステーキング(預け入れる)ことで安定した報酬を得られる
- 日本円のステーブルコインに対応したステーキングは現在まだない
- ステーブルコインも暴落することがある。